もっと教えて、先生!

「朝食で体を温めると、どんな良いことがあるの?」そんな疑問に専門家の先生が答えます。

温かいスープで、脳をスッキリ目覚めさせ、スムーズに働かせよう

古賀 良彦 先生
杏林大学医学部精神神経科学教室教授

慶応義塾大学医学部卒業後、杏林大学医学部精神神経科学教室に入室。助教授、臨床教授を経て現職。精神保健指定医、日本臨床神経生理学会認定医、日本精神神経学会専門医。

温かいスープを飲むと、脳波にα波が多量に出現

 温かいスープが脳に与える影響を調べるため、脳波を測定・分析する実験を行ったところ、温かいスープは水と比較して、飲んだ直後から広範囲に多量のα波が出現することがわかりました。
 α波は、脳が円滑に働いているときに多くなります。また心理的には、リラクゼーションの程度を反映するので、「α波が多い=緊張感やイライラが緩和され、頭がスッキリした状態」をあらわします。したがって、温かいスープを飲むことは脳に良い影響を与え、ストレスをやわらげて、頭がスッキリした状態をもたらすといえます。
 また一般的に、脳機能が低下した状態においては、“低周波”のα波が多く現れます。今回の実験では、冷たい牛乳を飲んだ後に“低周波”のα波が多く見られました。これに対し、温かいスープでは、“後頭部”を中心に“高周波”のα波が多く現れました。この結果から、冷たい牛乳よりも温かいスープのほうが脳をスムーズ且つ元気に働かせるということがわかりました。

朝食のスープで自律神経を整え、“スタンバイ”の状態をつくる

 α波が出ているときはリラックスしていながらも、適度に“スタンバイ”した状態なので、朝スッキリと目覚め、仕事や勉強、家事に気持ちよく取り掛かるために、朝食に温かいスープを飲むのはオススメです。
 スープを飲むことにより、脳の活動が円滑になり、自律神経の働きが整えられます。通常、就寝時には副交感神経が優位であり、朝が近づくにつれ、脳や身体を活発に活動させる交感神経が優位になります。しかし朝は、その交感神経の活動が過剰になって、頭痛、めまい、動悸、食欲低下などを感じる人も少なくありません。そこでスープによって交感神経の活動を抑え、自律神経がバランス良く働くようにすると、食欲が増し、朝食をおいしくとれるようになります。このように温かいスープを飲むことは理にかなっているのです。

スープの色は、暖色系の方が効果的?!

 食品が脳波に与える影響は温度のほか、味、香りの要素もあります。味と香りは個人の好みもあり、一概には言えませんが、暖色系の彩り豊かな食事は食欲を増し、心を温めるとされるので、スープも暖色系の具材をいろいろ入れると良いのではないでしょうか。また、「噛む」ことはストレスを軽減させるので、例えばコーンスープのクルトンのように、ある程度の噛み応えのあるものを入れるといいでしょう。
 朝スッキリと目覚めるためにコーヒーを飲む人が多いようですが、コーヒーや紅茶はホットでもアイスでも、カフェインの成分が緊張・興奮状態を生み、α波を減少させてしまうことがあります。人によっては朝から過度に緊張し、それがストレスにつながることもあります。勉強や仕事に向けて適度に“スタンバイ”するため、誰にでもオススメできるのは、やはり温かいスープだと思います。