もっと教えて、先生!

「朝食で体を温めると、どんな良いことがあるの?」そんな疑問に専門家の先生が答えます。

健康管理の基本は、身体を温めること。朝一番に温かい食事を!

今津 嘉宏 先生
芝大門 いまづクリニック 院長

藤田保健衛生大学医学部卒業。慶應義塾大学病院で外科医として働きながら、漢方医学を学ぶ。済生会中央病院外科副医長、慶應義塾大学医学部漢方医学センター助教、北里大学薬学部非常勤講師、慶應義塾大学薬学部非常勤講師などを歴任し、東京都港区に芝大門いまづクリニックを開院。日本外科学会認定医・専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本がん治療認定機構認定医・暫定指導医、日本東洋医学会専門医。

主な著書:『子どもの心と体を守る「冷え取り」養生』(青春出版社)、『病気が逃げ出す上体温のすすめ』(ワニブックスPLUS新書)他多数

環境の変化が身体に影響 「冷え」を取って、健康を維持

近年、大雨が続いたり、前日との気温差が10度になったり、日本の気候そのものが変化してきているようです。そのせいか、冬に多い病気だったインフルエンザが、夏から流行り始めたりしています。また、海外からの旅行者が多くなり、それに伴ってこれまで日本にはなかったウイルスが入ってくる可能性も増しています。このように私たちを取り巻く環境の変化に対応するためには、健康維持への心がけがこれまで以上に必要です。
健康管理の基本は、身体を温めて「冷えを取る」こと。体温アップで、体調が整います。それぞれの家庭で、体温を上げる工夫をしていきましょう。

順番が大切!まず温かい飲み物で1日をスタート

1日のうちでもっとも体温が下がっている朝の身体を温めることで、1日全体の体温を上げることができます。大事なのは、最初に温かいものを摂ること。すると、胃の周りの血液が温まり、その血液が約1分で身体中を駆け巡って、全身の体温を上げていきます。すでに身体全体のエネルギーが上がっていれば、冷たさを緩和する力が強くなっているので、次に冷たいものを摂ったとしても体温を保つことは簡単です。朝一番にコップ1杯の冷たい水を飲むという健康法がありましたが、先に冷たいものを摂ると、身体は一気に冷えてしまいます。
また、温かい食べ物でもコーンスープやおかゆのようにトロミがあると、身体の中心にある消化管をゆっくりと進むので、身体を温める時間が長くなります。まるでお腹にカイロを入れたような状態です。さらに、単に「飲む」だけでなく、「噛む」と良いでしょう。噛むとアゴや頬の筋肉を動かすことになり、身体に熱が発生します。具がたくさん入った味噌汁も良いでしょう。

体温を上げれば、代謝・臓器・免疫の機能もアップ

冷えを取って身体を温めるという健康管理法は、とてもシンプルですが、そのメリットは計り知れません。体温を上げると、それだけエネルギー代謝の効率が上がって体調が良くなったり、細胞の中の酵素が活性化して、細胞からできているあらゆる臓器や組織の機能も向上します。さらに、生活習慣病やがん、感染症の根本的予防法とも言える免疫力を高めることにもつながるのです。特に子どもは、「冷え」を取ることで、1年後にはほとんど風邪をひかなくなって心身ともに元気になるなど、大きく変わります。